【2024年11月14日 5:33 PM更新】
はじめに
この症例では、
長期間にわたりレジン充填を中心とした対応が続いていました。
しかし、根管治療や適切な修復物の製作が行われていなかったため、
転院時には歯の崩壊や咬み合わせの問題が進行していました。
自由診療も適応できないために
その結果、単純な詰め直しでは対応できない、
難度の高い治療計画が必要になりました。
単なる「レジン充填の説明ページ」ではなく、
レジン充填のみで長期対応され、根管治療・補綴・咬合回復が不十分だった結果、
転院時に治療難度が高くなった症例解説ページ
このページの結論
レジン充填は有効な治療法ですが、歯の状態によっては限界があります。
虫歯が深い、歯の神経や根に問題がある、咬み合わせが崩れている場合には、根管治療や被せ物などを含めた総合的な判断が必要です。
本症例では、レジン充填だけでは対応しきれない状態で転院されたため、治療の難易度が高くなっていました。
長年レジン充填だけやっている歯科医院に通った人です。
根管処置やクラウンなどはなっていなくて
レジン充填だけで処置してあります。
患者さんはお気の毒ですが、
しっかりとした保存処置がされていないので
お口の中は使えなくなった歯 修復物が制作できなくなった歯
がたくさんあります。
「歯科医になって、十万人…と治療をしてきましたが、
この症例ほど驚いた症例に遭遇したことはありませんでした。」
今までこのような状態のお口の中は
見たことがありませんでしたが
潜在的には相当数の割合で存在しているのでしょう。
レジン充填だけの治療の顛末は、最後にすべての歯が
崩壊してゆくような気がします。
もしも自由診療での歯の制作ができれば
かなりいいレベルで治療を行い
かみ合わせも復元できたと思います。
一部ダメ元の無料の(自由診療)保険外診療をして
ある程度の形にしてあげて
とりあえず終わることができました。
当院には、
「他院でむし歯になるたびにレジン(プラスチック)を詰め直しているが、
すぐに欠ける・外れる」
というご相談が非常に多く寄せられます。
その背景には、単なる充填技術の問題だけでなく、
近年増えている「酸蝕症(さんしょくしょう)」
という見落とされがちなリスクが潜んでいる可能性もあります。
なぜ「レジン充填だけ」では解決しないのか?
レジン充填は、ご自身の歯を極力削らない優れた治療法です。しかし、以下の状況では「対症療法」にしかならず、歯をどんどん痩せさせてしまいます。
-
酸蝕症のリスク: 炭酸飲料、スポーツドリンク、ワイン、柑橘類などの酸性食品を好む習慣がある場合、歯のエナメル質が化学的に溶け出し、レジンとの接着界面が脆弱になります。結果、充填してもすぐに脱落します。
-
咬合圧(歯ぎしり): 酸で弱った歯に、さらに数千キロの破壊的な噛み合わせ圧がかかれば、レジンは一瞬で破壊されます。
-
物理的な限界: レジンは「補う」材料であって、「支える」強度は持っていません。
レジン充填しか(それもいい加減)やってない歯科医院からの転院
このような歯科医院が、最近増えているかもしれません
上顎 治療はすべてレジン充填

下顎 すべてがレジン充填

まずは・・奥から二番目が痛い
レントゲンで確認すると根尖に病巣があります。
痛い。。。と言い続けたそうですが
無視されたそうです。
レジンの劣化、摩耗、着色が歯が

根管治療医開始
長い間根管処置を無視してきたので
樋状根で、二次象牙質で根管内はいっぱい。
根尖には病巣があるものの
病巣周囲は骨硬化像が見えます。
長い間の炎症の跡です。
きちんとした補綴物、修復物を製作した
履歴もありません。

上の歯 ひどい順に 神治療を除去
すでに歯はその形態を失っています。

この歯にレジン充填がしてありました。
まさに神の技!
歯が割れて空中分解しています。
ある程度の治療がしてあれば・・・・

それでも根管治療やってみました。
神に逆らうことは 神への冒涜か?
歯の実態が見えてきました。
通常なら、抜去の適応です。
もしもジルコニアでの修復をお望みでしたら
この2本は抜去して戦後の歯を支台に
ブリッジを制作します。
患者さんの主訴は「奥歯を作ってほしい」
なので、自由診療でのジルコニアの
ご希望は聞いていませんので、
この状態でどうにかする予定です。

飲んでいるサプリにご用心 歯が解けていますよ
豪気質が露出した部分が、不自然に破壊 溶解して
患者さんから詳しく聞き取り・・
シナールとハイチオール それにビタミンB複合材
をずっと飲んでいるとのことでした。
ビタミンCはお勧めのビタミンで
是非とも生涯飲んでほしいと思えるほどのものですが
飲みすぎると、夜間に胃液が逆流して
歯を溶かすことがよくあるようです。

レジン充填だけの歯科医院ですので
レジンが外れたり割れてりした場合に象牙質が露出
そこから溶け出したのでしょう。
一部の歯は原型をとどめていません。
模型も制作して診査
左側 上の歯がきちんと制作されていません。
とりあえずレジンを塗ってあるだけなので
下の歯と噛んでいません。
上下が咬んでいない場合には
上下の顎骨が変形して、上下のスペースが狭くなります。
きちんとした位置に歯を入れるなら、
片側の歯を削合して、
上下の中心で咬ませるしかありません。

右側
上の歯をいい加減にレジン充填してあるので
上下が咬んでいません。
咬んでいないということは
変形をが起こり、上下のスペースが狭くなります。

この症例の場合をはじめ、ここのWEBに計算してある症例では
初診後計画には5~6時間ほど(夜10時から始めて深夜3~4時くらい)
時間を要しますので、タクシーに例を取るならば
京都までの費用である 20万円程度の請求ができる
仕事であると評価できると思います。
もちろん経費はご請求したことはありませんが
本気治療というのはそこまでやる必要があります。
歯科医になってこのような状態の症例は初めて見た 自由診療での対応ができれば
患者さんの主訴が奥歯を作ってほしい
本来なら、抜去の適応ですが
抜去すると、その後歯を入れる際に
手間、時間ががかかりますので、
今回はダメで元々 ダメ元で歯を制作しました。
今まで、「自分で歯を作ってしまった人」
に大変困った事例はあるのですが、
それよりひどい状態です。
もしも自由診療での診療をとなれば
この歯を抜去して前後の歯を支台として
ジルコニアのブリッジを制作します。
最後臼歯 一番下の歯も、大きく溶けています。
ジルコニアなどで修復できれば
安定した2本支台 4本ブリッジが製作可能です。
今回は自由診療を無料にして、ハイブリットセラミックで制作

中心付近に
実際に咬んで歯を使ってから
症状が出ることも予想できるので
健康保険での請求なしに歯を
ハイブリットセラミックで制作。
健康保険で歯を制作した場合には、
歯を作った後にその歯を抜去してブリッジにするなどの
方向転換ができません。
この場合にも健康保険を使わず無料の自由診療で。
もちろん費用は請求なしです。

ハイブリットセラミックで一応歯が入りました。

初めて奥歯が噛むようになりました。

まだまだ続く・・・・・
健康保険のCAD/CAM冠装着
健康保険のキャドカム冠はお勧めの
修復材料ではありません。
プラスチックのため短寿命ですが
長年にわたり、咬むことに使われていない歯で
なおかつ根尖に病巣があったので、
●ほどほど柔らかい
●費用がそれほど掛からない
●調整が容易
●症状が再発した際に、再治療しやすい
という点で、CAD/CAMの選択になりました。

キャドカム冠とかみ合う上の歯もぼろぼろなので
調整に幅を持たせるための選択です。
歯の形をしていないものと咬み合わせます。

コメントもできないほどの状態

まだまだ 続く
次はこの歯を作ろうと 治療開始驚き 根管処置をした形跡もなくひどい状態
どうすればここまで汚くレジン充填ができるのか、マジに明け方に悪夢を見た
歯科医になって、十万人 二十万人・・
と治療をしてきましたが、この症例ほど汚い(ゴメン)
症例に遭遇したことはありませんでした。
本日、目が覚める前にはあの症例はどうにもならない
と夢を見ている途中で朝になり目覚ましチャイムが鳴りました。

これを支台にかぶせ物を作ろうとしましたが
見事に崩壊しました。

根管治療なしで直接レジン充填されている
歯は中心部から割れて。。。
根管治療をした形跡もなく
こんなのが世の中にまかり通っているなんて・・・

この状態で根管に触れた形跡なし
さすがはレジン充填しかできない歯科医院。
アマゾンの奥地の人食い人種の住む地域か
ネアンデルタール人や北京原人が治療したのか?
まさに神業です。

通常なら抜去ですか、感覚で根管のあった場所に
歯の支持を求めるポストが入る穴を支台歯形成
これでハイブリットセラミックのエンドクラウンを
ダメ元で制作します。

精神的にはダメージがあったが、解決策を見出す 無事に作業模型を制作
これでハイブリットセラミックのクラウンが制作できます。
やるべきことをやるのが、解決策

本来ならこの歯も抜去の適応化と思われますが
咬めるだけの歯を作りました。
ダメで元々のダメモト。
金銭発生させる状態でもなく、これを健康保険を適応するのは
行政の予算のむっだ使いだと考え
ハイブリットセラミックで制作して、
この歯も料金発生せずに制作。

相当の年月にわたりこの歯は
歯としての機能を果たしていないので
症状が出る可能性も考えられます。

とりあえずこの症例はこれで終わり。
もしも自由診療のお申し出があったなら
左右の歯は抜去して、ジルコニアのブリッジが
第一候補の選択です。
今回は 「奥歯を作ってほしい」とのお申し出だったので
保険外の自由診療の話は当方からは持ち出しませんでした。
とりあえず、これで終わり。
「このまま放置した場合の末路」と「北村歯科が提示した救済ルート」
を考える必要があると思いますが、
患者さんがこの先のもっと深堀した治療をご希望の場合は
計画を作っての対応となります・
北村歯科の治療の考え方
当院では、「ただ詰める」治療はいたしません。
-
酸蝕症の診断: 歯が溶けている原因(食生活や胃酸逆流など)を特定し、エナメル質の再石灰化を促す環境を整えます。
-
咬合の再構成: 歯が削れた原因が「力の問題」であれば、フルジルコニア等の高強度素材を用いて、噛み合わせの高さ(高径)を精密に復元し、歯を守る強固な補綴を設計します。
-
精密技工との連携: 充填の精度を上げるだけでなく、必要に応じて精密なインレーやクラウンを選択し、脱落しない・壊れない環境を構築します。
「レジンを詰めるだけ」の治療で納得できない方、その原因は歯そのものの強さと、噛み合わせの力にあります。一度、当院の精密検査で「なぜ取れるのか」「なぜ溶けるのか」の根本原因を明らかにしませんか?
転院に関しては、詳しい実例は山ほどあります。下記をご参考に
可能な限り、治療中の歯科医院での治療をお勧めいたします。
| (一般歯科医院ではあまり見せない、裏側の状態もお見せしています) |
| ●手を付けた部位の修正ややり直しはたいへん |
| ●悪くなるのは誰かが削った所その2 |
| ●転院 実例 削ったままで来院 |
| ●転院 実例 下顎の前歯には要注意 |
| ●ジルコニアにするなら美しく |
| 今までの特設ページにも、参考になる事例がたくさんあります。 こちら |
丁寧な検査、歯周基本治療、必要に応じた外科処置、
定期メンテナンスまで一貫して行い、できる限り歯を残す方針です。
北村歯科
この記事の執筆・監修: 北村秀紀(歯科医師/横浜市鶴見区 北村歯科)
最終更新日 2026年6月3日
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