「かみ合わせが悪いと言われた」
「顎がガクガクする」
「朝起きると顎がだるい」
「歯ぎしりがひどいと言われた」…
北村歯科にも、このようなご相談が少なくありません。
このページでは、かみ合わせ・顎関節症・歯ぎしり・食いしばりについて、
北村歯科の現在の考え方と、
どこまで歯科で対応できるか/
どこからは専門機関をおすすめするか
を総まとめとして整理しました。
※大切な前提として、北村歯科では現在、
大がかりな「かみ合わせ治療」
「全顎的咬合再構成」などは行っていないことになっています。
近年の傾向として「何でもかみ合わせのせい」にするのではなく、
できる範囲・できない範囲を正直にお伝えする立場からお話しします。
北村歯科の「かみ合わせ・顎関節」に対する基本方針
かみ合わせ・顎関節症について、北村歯科では次のような考え方を大切にしています。
- 何でも「かみ合わせのせい」にしない
顎や首・肩の不調があると「全部かみ合わせが悪いせい」と説明されることがありますが、
実際には筋肉・姿勢・ストレス・生活習慣など多くの要因が関係しています。
歯だけで全てを説明しようとはしません。
- 大がかりな咬合再構成は行わない
歯を大きく削り直して噛み合わせを作り変える治療は、
一度始めると後戻りが難しく、歯への負担も大きいため、現在は行っていません。
- 歯ぎしり・食いしばりへの「守りの対策」を重視
ナイトガード(マウスピース)などで、
歯や被せ物・顎関節を守る方向の治療を優先します。
- 必要に応じて専門機関をご紹介する
顎関節症の中には、口腔外科・整形外科・リハビリ・心療内科などの分野と連携が必要なものもあります。
当院での対応が難しい場合は、その旨をお伝えし、適切な受診先を検討します。
かみ合わせ・顎関節症でよくある症状
次のような症状でお困りの方が多く来院されます。
- 口を開けるとカクカク・ジャリジャリ音がする
- 朝起きたときに顎がだるい・こわばる
- 大きく口を開けにくい/開けると痛い
- こめかみ・ほほ・首・肩のこりや痛み
- 「歯ぎしりがうるさい」と家族に言われる
- 被せ物や詰め物がよく欠ける・外れる
- 原因がはっきりしない頭痛・耳鳴り・耳の違和感
これらの症状の全てが「かみ合わせだけ」の問題とは限りませんが、
歯ぎしり・食いしばり・顎関節の負担が一因になっていることは少なくありません。
歯ぎしり・食いしばりとの関係
かみ合わせ・顎関節の相談の背景には、多くの場合歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)があります。
- 睡眠中のギリギリ・ガリガリという音
- 起きている間の無意識の噛みしめ
- スポーツ・仕事中の強い食いしばり
これらは、歯や被せ物だけでなく、
顎の筋肉・顎関節・首・肩にも大きな負担をかけます。
歯ぎしり・食いしばりについては、
歯ぎしり・食いしばり・かみしめの総まとめ|ナイトガードと歯の守り方 の
ページで詳しく解説しています。
顎関節症とは?どこまで歯科で対応できるか
一般に顎関節症と呼ばれる状態には、いくつかのタイプがあり、原因も単一ではありません。
- 関節の周りの筋肉の緊張・疲労が主な場合
- 関節内の関節円板(クッション)のズレが関係する場合
- 関節の骨そのものの変形・変性が進んでいる場合
- ストレスや姿勢・全身の筋バランスが強く関わっている場合
歯科で行える主な対応としては、
- 噛み合わせ・歯列・被せ物のチェック
- 歯ぎしり・食いしばりの有無の確認
- ナイトガード(マウスピース)の製作・調整
- 生活習慣・セルフケアのアドバイス
一方で、強い痛み・口がほとんど開かない・外科的な処置が必要そうなケースでは、
口腔外科や大学病院などの
顎関節症専門外来の受診をおすすめすることがあります。
避けていただきたい「かみ合わせ治療」の例
かみ合わせが気になるあまり、
次のような治療を繰り返している方も少なくありません。
- 明確な診査・診断なしに健康な歯を大きく削り、かみ合わせを変え続ける
- 理由が曖昧なまま、次々と被せ物をやり直す
- 「顎がずれている」「体が歪んでいる」と言われ続け、不安をあおられるだけの説明
このような治療は、
かえって歯の寿命を縮めたり、顎や体の不調を長期化させることがあります。
北村歯科では、こうした大規模なかみ合わせ治療は行っていません。
その代わりに、
「今ある歯をどこまで守れるか」
「どの範囲までなら歯科で関われるか」
を一緒に考えるスタンスを取っています。
北村歯科で行っていること・行っていないこと
行っていること
- 歯ぎしり・食いしばりによる歯・被せ物・歯周組織への影響の評価
- ナイトガード(マウスピース)による保護・負担軽減
- 虫歯・歯周病・欠けた被せ物など明らかな原因がある部分の治療
- 生活習慣(姿勢・スマホ・食いしばり癖など)のアドバイス
- 必要に応じた口腔外科・他科への紹介
行っていないこと
- 健康な歯を大きく削り直して噛み合わせを作り変える全顎的咬合治療
- 「かみ合わせを治せば全身の不調が全て治る」といった過度な説明
- 科学的根拠の乏しい高額な装置・長期契約など
かみ合わせや顎関節は、「歯だけで完結する問題ではない」という立場から、
できる範囲・できない範囲をはっきりさせたうえで対応しています。
ご自身でできる対策・気をつけたいポイント
日常生活でできること
- 「上下の歯は、リラックスしているときは離れている」が基本(常に噛みしめない)
- スマホ・PC作業時の姿勢を見直し、首・肩への負担を減らす
- 頬杖・うつ伏せ寝など、顎に偏った力がかかる習慣を減らす
- ストレス対策・睡眠の質の見直し
自己判断でやらないほうが良いこと
- 自分で歯を削る/市販グッズで無理に噛み合わせを変える
- 痛みが強いのに、長期間そのまま様子を見る
- 強い症状があるのに、「歯ぎしりだから仕方ない」と諦めてしまう
症状が強い場合や長引く場合は、
一度レントゲン・口腔内のチェックを受けることをおすすめします。
かみ合わせ・顎関節と、他の治療との関係
かみ合わせ・顎関節の問題は、
他の歯科治療とも深く関係しています。
- 歯ぎしりが強いと、セラミック・ジルコニア・CAD/CAM冠の破折リスクが高まる
- 歯周病で歯の支えが弱くなると、かみ合わせの負担が一部に集中しやすい
- 大きなブリッジ・義歯などで噛み合わせが変わることもある
そのため、北村歯科では
歯ぎしり・食いしばりの総まとめ や
歯周病の総まとめガイド 、
審美歯科・ジルコニア治療の総まとめガイド
といったページも合わせてご覧いただくことをおすすめしています。
この記事の執筆・監修:
北村秀紀(歯科医師)/横浜市鶴見区 北村歯科