「片側では噛めるけれど、反対側だと痛くて噛めない」
「どこで噛んでいいか分からない」「前歯で噛み切れない」
「歯が合わず、ほとんど噛めない」…。
このような『よく咬めない』『噛みにくい』
お悩みは、北村歯科にも多く寄せられます。
このページでは、
「咬めない・噛みにくい」状態の代表的な原因と、
北村歯科での考え方・対応の流れを
総まとめとして整理しました。
※ここでお話しする内容は、あくまで一般的な目安です。
実際の治療方針は、お口の状態を拝見し、
レントゲンや必要に応じてCT・模型・写真なども含めて総合的に判断します。
北村歯科の「咬めない・噛みにくい」への基本方針
「咬めない」状態に対して、北村歯科では次のような考え方を大切にしています。
- 原因をひとつに決めつけない
「全部かみ合わせのせい」「全部入れ歯のせい」と決めつけず、
むし歯・神経・歯周病・欠損・入れ歯・ブリッジ・歯ぎしり・顎関節などがどの程度関わっているかを分けて考えます。 - いきなり大がかりな“総やり直し”はしない
全ての歯を削り直すような大規模な「かみ合わせ治療」「全顎的再構成」は、
一度始めると後戻りが難しく、歯への負担も大きいため、当院では行っていません。 - 痛み・炎症が強い部分をまず落ち着かせる
痛みが強い状態で咬み合わせをいじると、
正確な判断が難しくなります。
まずむし歯・神経・歯周病などの急性症状を落ち着かせることを優先します。 - 「どこまで回復を目指すか」を患者さんと相談する
年齢・持病・生活スタイル・ご希望によって、
「とにかく痛みなく食べられれば良い」「見た目も含めてしっかり噛めるようにしたい」など、ゴールは様々です。
無理のない範囲で、現実的な目標と治療計画を一緒に考えます。 - 途中放置や仮歯放置のリスクも正直にお伝えする
他院での治療途中・仮歯のまま長期間・中断した治療なども、
「ダメ」と決めつけるのではなく、今の状態から何ができるかを検討します。
「咬めない・噛みにくい」と訴えられる主なパターン
北村歯科に多いご相談を、代表的なパターンごとに分けると、次のようになります。
- ① 痛みが怖くて咬めない(むし歯・神経・歯周病・根の病気)
- ② 歯が少なくて咬む場所がない(欠損歯・ブリッジ・入れ歯の問題)
- ③ 歯がグラグラで力が入らない(進行した歯周病)
- ④ 入れ歯・仮歯・被せ物が合わず咬めない(形・高さ・動揺)
- ⑤ どこで噛んでいいか分からない(かみ合わせ・顎関節・歯ぎしり)
- ⑥ 他院治療の途中・転院後で咬めない(仮歯・途中放置・治療方針の違い)
実際には、これらが複数組み合わさっていることが多く、
「全部を一度に完璧に直す」のではなく、
優先順位をつけて順番に整えていくことが現実的です。
原因① 痛みが怖くて咬めない|むし歯・根管・歯周病
「噛むと痛いから、その側では咬まないようにしている」というケースです。
主な原因は、
- 深いむし歯(C2〜C3)
- 神経の炎症・根管の問題(歯髄炎・根尖性歯周炎)
- 歯周病の急性発作・歯ぐきの腫れ
- 歯のヒビ・歯根破折
この場合、痛みの原因を治さない限り「咬めない」のは当然であり、
かみ合わせだけ調整しても根本的な解決にはなりません。
痛みの種類と原因については、
むし歯・根管治療・歯周病など痛みの原因に対応する総まとめガイド
をご覧ください。
むし歯・根管・歯周病について詳しく知りたい方は、
次のページも参考になります。
・むし歯治療の総まとめ
・根管治療・神経を残すか取るかの総まとめ
・歯周病の総まとめガイド
原因② 歯が少なくて咬む場所がない|欠損歯・ブリッジ・入れ歯
奥歯が何本か抜けたまま・仮歯のまま・古い入れ歯をそのまま…
という状態が続くと、
上下でしっかり咬み合う「接触点」が少なくなり、「咬めない」状態
になります。
代表的な状態:
- 奥歯が片側(あるいは両側)とも抜けたままで、前歯ばかりで噛んでいる
- 古い入れ歯が合わず、硬いものを噛むと浮き上がる・痛い
- ブリッジの支台歯が弱く、怖くて力を入れられない
- 噛み合わせの面がすり減って、どこが当たっているのか分からない
この場合の治療の選択肢は、
残っている歯の状態・歯周病の進行度・全身の状態・ご希望
によって大きく変わりますが、
- 部分入れ歯(義歯)で咬む範囲を回復する
- 条件が良ければブリッジでつなぐ
- (医院の方針・全身状態によりますが)インプラントを検討することもある
どの方法にも、メリット・デメリット・費用・清掃性・将来性があります。
北村歯科では、いきなり一つの方法を押しつけるのではなく、
現実的な選択肢と「
何をどこまで目指すか」
を一緒に相談しながら決めていきます。
原因③ 歯がグラグラで力が入らない|進行した歯周病
歯周病が進行すると、
歯を支える骨が溶けて、歯がグラグラしてきます。
この状態で強く噛むと痛みが出るため、
「しっかり咬めない」
「柔らかいものしか食べられない」
といった状態になります。
典型的な症状:
- 前歯が前に出てきた・隙間があいてきた
- 噛んだときに歯が「ギシッ」と動く感じがする
- 歯ぐきから膿が出る・口臭が強い
- 特定の歯に力をかけると痛いので、反対側ばかり使う
この場合は、いきなり被せ物やブリッジで固めるのではなく、
歯周病の治療と清掃性の改善が第一となります。
歯周病の全体像と治療の流れは、
歯周病の総まとめガイド を
ご参照ください。
原因④ 入れ歯・仮歯・被せ物が合わず咬めない
「治療はしてあるのに、よく咬めない」「仮歯のまま長く過ぎてしまった」というご相談も多くあります。
よくあるケース:
- 入れ歯が合わず、浮き上がる・痛むため強く噛めない
- 仮歯が取れやすく、怖くて咬めない
- 被せ物が高すぎて一部の歯だけに力が集中している
- 被せ物の形態の問題で、食べ物をうまくすり潰せない
仮歯・治療途中・転院などに関しては、
仮歯・転院・途中放置に関する総まとめガイド
(※作成済みの場合)に詳しく整理しておくと分かりやすくなります。
北村歯科では、
「今の入れ歯・被せ物を調整すれば使えるのか」
「作り直したほうが良いのか」
「残っている歯をどこまで活かせるか」などを、
むやみに否定するのではなく、
現状からの現実的な選択肢としてご説明します。
原因⑤ どこで噛んでいいか分からない|かみ合わせ・顎関節・歯ぎしり
痛みはそれほど強くないのに、
「どこで噛んでいいか分からない」
「噛み合わせがフワフワする」といった訴えもあります。
背景としては、
- 歯ぎしり・食いしばりによる歯のすり減り
- 被せ物の高さ・形態の不調和
- 顎関節症・筋肉の緊張
- 片側ばかりで噛んできた癖
かみ合わせ・顎関節・歯ぎしりについては、
・かみ合わせ・顎関節の総まとめガイド
・歯ぎしり・食いしばりの総まとめガイド
に詳しく記載しています。
北村歯科では、
大がかりな「かみ合わせ治療」や全顎的な削り直しは行っていません。
その代わりに、
・ナイトガード(マウスピース)による保護
・必要最小限の高さ調整
・痛みや不具合のある部分の治療
を組み合わせた「守りの治療」を中心に考えています。
原因⑥ 他院治療の途中・転院後で咬めない
「他院の治療途中で通えなくなった」
「セカンドオピニオンとして見てほしい」
というご相談もあります。
よくある状況:
- 仮歯のまま長期間経過し、咬み合わせが変わってしまった
- 根管治療途中で転院し、どこまで治療が進んでいるか分からない
- 治療方針が途中で変わり、今後どうしたら良いか分からない
こうしたケースでは、
・現在の歯の状態(残っている歯質・根の状態・歯周病の程度)
・治療途中の部分(仮歯・仮詰め・未完成のブリッジなど)
を一度整理し、
「どこから手を付けるのが現実的か」
を順番に考えていきます。
詳しくは、
仮歯・転院・途中放置に関する総まとめガイド と
併せてご覧いただくとイメージしやすいと思います。
「咬めない」と感じたときの北村歯科での診察の流れ
- 問診
「いつ頃から」「どのあたりが」「どんなものが食べにくいか」「痛みがあるか」を詳しく伺います。
日常生活で困っていること(食事・仕事・趣味など)も教えてください。 - お口の中の診察
むし歯・歯周病・欠損歯・入れ歯・被せ物・かみ合わせを確認します。
必要に応じて、どの歯が実際に噛み合っているか(咬合接触)をチェックします。 - レントゲン・必要に応じて写真・模型
根の状態や骨の状態、見た目では分からない部分を確認し、
破折・根尖病変・重度歯周病などの有無を調べます。 - 「今すぐ対応すべきところ」と「長期的な課題」の仕分け
・痛み・腫れなど緊急性の高い部分
・今後の咬む力に大きく関わる重要な歯
・見た目の改善が必要な部分
などを整理し、優先順位をご説明します。 - 治療の選択肢と大まかな計画のご説明
「ここまでは保険でできること」「ここから先は自費も選択肢になる部分」など、
費用・期間・リスクも含めてできるだけ正直にお話しし、無理のない計画を一緒に考えます。
「どこまで噛めるようにしたいか」を一緒に考える
「若い頃と全く同じ噛み心地に戻す」ことが現実的とは限りませんが、
多くの場合、
今より噛みやすく・痛みや不安を減らすことは目指せます。
北村歯科では、
・年齢や全身状態
・お仕事や介護などの生活状況
・食事のスタイル(硬いものが好きかどうか等)
・治療にかけられる時間と予算
を伺いながら、
「このくらい改善できれば、生活がかなり楽になる」
というラインを一緒に探していきます。
関連する総まとめページ・FAQ
「咬めない」状態は、複数の要因が重なっていることが多いため、以下のページも参考になります。
もっと詳しく知りたい・自分の場合を相談したい方へ
「自分の場合はどの原因が大きいのか?」「どの程度まで回復を目指せるのか?」は、
お口の状態や全身の状態によって大きく変わります。
来院が難しい場合や、受診前にある程度の目安を知りたい場合は、
24時間質問ページ・北村歯科AIチャット相談 から、
現在の症状や不安な点をお送りいただくことも可能です。
実際の治療は、お口の状態を拝見したうえでの判断が必要になりますが、
「今より少しでも咬めるようになりたい」
というご希望に対して、現実的な選択肢を一緒に考えていきます。





