「虫歯があると言われたけれど、本当に全部削る必要があるのか?」
「神経は残せるのか?」
「歯と歯の間の虫歯はどうしたらいいのか?」
北村歯科には、こうしたご相談が毎日のように寄せられます。
このページでは、虫歯治療の考え方を総まとめとして整理しました。
どこまで削るべきか/
どこまでなら削らず経過を見るか/
神経を残せる限界はどこか
を、おおまかな目安としてご理解いただくためのガイドです。
※あくまで一般的な目安であり、
実際の治療方針はお口の状態を拝見したうえで決定します。
自己判断で治療を先延ばしにすることはお勧めできません。
北村歯科の虫歯治療の基本方針
虫歯治療について、北村歯科では次のような考え方を大切にしています。
- やり直し前提の治療はしないこと
一時的に埋めて終わりではなく、「何年持たせられるか」「歯をどこまで残せるか」を軸に治療の選択肢を考えます。 - 削る・抜くは最後の手段にすること
歯や神経は、一度失うと元には戻りません。
削らず経過を見られる虫歯はできるだけ温存し、どうしても必要なところだけを最小限削ることを目標にします。 - 見た目だけでなく、噛み合わせと長期安定を重視すること
レジン充填・インレー・クラウン・ジルコニアなど、どの材料を使うかは、
「見た目」だけでなく噛み合わせ・強度・再発リスクも含めて選びます。 - 保険診療でも可能なかぎり誠実に治療すること
保険の範囲でも、工夫次第でできることは多くあります。
そのうえで、自費のメリット・デメリットも隠さずお話しし、無理に高額治療を勧めることはありません。
虫歯の進行度と「自然には治らない」という現実
虫歯は自然に治りますか?
一度穴があいた虫歯(C2以降)は、残念ながら自然には元の歯質には戻りません。
ごく初期のC0〜ごく浅いC1であれば、フッ素やプラークコントロールにより進行を止める・遅らせることは期待できますが、
「放っておいたら勝手に元通り」にはなりません。
C0〜C4 おおまかなイメージ
- C0:穴はあいていないが、表面が白く濁るなどの初期変化。削らず経過観察+予防の対象。
- C1:エナメル質内の虫歯。痛みはほぼなし。状況により削るか/削らず経過を見るかを判断。
- C2:象牙質に達した虫歯。しみる・痛むことがある。基本は削って治療の対象。
- C3:神経(歯髄)に達した虫歯。ズキズキ痛むことが多く、根管治療が必要になる段階。
- C4:歯冠部が大きく崩壊し、根だけ残った状態。抜歯や大がかりな治療が必要になることが多いです。
同じC2でも、場所・広がり・患者さんの年齢・歯ぎしりの強さなどによって、
治療方針は変わります。
「C2だから必ず削る」「C0だから絶対削らない」という単純な話ではありません。
どこまで削る?どこまで削らず経過を見る?
削らず経過を見ることが多いケース(目安)
- エナメル質内のごく初期虫歯で、レントゲン上も浅く、進行が止まりつつあると判断できる場合
- 高齢で進行が非常に遅く、他に優先すべき治療が多い場合
- フッ素やクリーニング、ホームケアの改善により、リスクコントロールが期待できる場合
削って治療することが多いケース(目安)
- 象牙質に明らかに達しており、放置すると神経に近づいていくと予想される場合
- 歯と歯の間の虫歯で、すでにかなり広がっている場合
- 痛み・しみなどの症状が出ている場合
- 患者さんが「今後の不安を減らすために、しっかり治しておきたい」と希望される場合
北村歯科では、
「削る・削らない」を決める前に、
リスクとメリット・デメリットをできるだけ具体的にお話しします。
そのうえで、患者さんと一緒に方針を決めていきます。
歯と歯の間の虫歯(隣接面カリエス)について
初診で特に問題になるのが、
歯と歯の間にできた虫歯(隣接面カリエス)です。
表面からは小さく見えても、
歯の中で大きく広がっていることが多いのが特徴です。
- レントゲンで初めて見つかる
- 「歯が痛いが、どこか分からない」という症状で見つかる
- フロスが引っかかる・切れる、食べ物がよく詰まる
詳しくは、
歯と歯の間にできる虫歯(接触点カリエス・隣接面カリエス)の解説ページ
もご覧ください。
歯と歯の間の虫歯は、
気づいた時点でかなり大きくなっていることが多く、
「削る/削らない」の議論よりも、
「どこまで残せるか」
「神経や歯を守るためにどんな治療が必要か」
を優先して考えることが多い部位です。
痛みの種類から考える「今どんな状態か」
冷たいものがしみる(短時間)
エナメル質〜象牙質レベルの虫歯や、知覚過敏などが考えられます。
この段階であれば、神経を残せる可能性が十分にあります。
温かいもの・何もしなくてもズキズキ痛い
神経に炎症が及んでいる可能性が高く、
C3(歯髄炎)レベルになっていることが多いです。
多くは根管治療が必要になる段階です。
噛むと響く・違和感が長く続く
歯の亀裂・大きな虫歯・根の炎症など、さまざまな要因が考えられます。
レントゲンやCT、噛み合わせのチェックが必要です。
「どれが正解か」を自己診断するのは難しいため、
痛みの種類とタイミングを教えていただくこと
が診断の重要な手がかりになります。
神経を残すか取るか|MTA・覆髄・根管治療との関係
虫歯が神経に近づいてくると、
「神経を残せるか」「根管治療が必要か」の判断が必要になります。
大まかなイメージとしては、
次のような流れになります(あくまで目安です)。
- 虫歯が浅い:削ったあとも健康な象牙質が十分に残る → 通常の充填・詰め物
- 虫歯が神経にかなり近い:MTA・覆髄などで神経を残せる可能性がある
- 虫歯が神経に到達/強い痛み:根管治療(神経を取る治療)の対象になることが多い
- 歯の崩壊が大きい・ひび割れ:抜歯や大がかりな再建治療が必要になる場合も
神経保存治療(MTA・覆髄)については、
虫歯治療 FAQ 50問 や
でも詳しく解説しています。
根管治療全体の流れは、
歯の神経を残すか取るか・根管治療の総まとめ
をご参照ください。
虫歯を取ったあと「何を入れるか」|材料と削る量の関係
虫歯を削ったあと、「どんな材料でどうやって補うか」によって、
削る量や歯への負担が大きく変わります。
レジン(コンポジットレジン)充填
- 保険診療で白い詰め物が可能
- 比較的削る量を少なくできる(状況による)
- 強い力がかかる場所・大きな欠損では割れ・摩耗・変色が起こりやすい
インレー(部分的な詰め物)・クラウン(被せ物)
- 金属・CAD/CAM冠・セラミック・ジルコニアなど、複数の選択肢がある
- 形態をしっかり作り直せる反面、ある程度しっかり削る必要がある
- 噛み合わせ・歯ぎしりなどを考慮しないと、破折・二次カリエスのリスクが高まる
各材料の特徴については、
審美歯科・ジルコニア治療の総まとめガイド や
で詳しく解説しています。
「虫歯がたくさんある」と言われたとき|優先順位のつけ方
他院で「虫歯が10本以上ある」
「早く全部治さないと大変なことになる」
と言われ、セカンドオピニオンとして来院される方も多くいらっしゃいます。
北村歯科では、そのような場合に
次のような視点で優先順位をつけて治療計画を立てます。
- 今すぐ処置しないと歯を失うリスクが高いところ(深い虫歯・根の病変・歯周病の重症部位)
- 神経を残せる可能性があるところ
- 痛み・腫れなど症状が強いところ
- 見た目や噛み合わせに大きく影響するところ
「言われた虫歯の本数」だけを見て焦るのではなく、
10年後・20年後を見据えて、
どの歯を優先的に守るかを一緒に考えていきます。
再発虫歯(二次カリエス)を防ぐには
虫歯治療で意外に多いのが、
「一度治療したところが、詰め物・被せ物の周りから再び虫歯になる」
ケースです(二次カリエス)。
主な原因としては、
- 詰め物・被せ物と歯との境目の適合不良
- ブラッシングが難しい形態になっている
- 歯ぎしり・食いしばりによる欠け・浮き上がり
- 砂糖・間食の頻度が多い など
北村歯科では、
「治療で終わり」ではなく、
「その後どうやって守っていくか」まで含めてご説明します。
定期検診・クリーニング・噛み合わせチェック・生活習慣の見直しが欠かせません。
虫歯になりにくいお口にするために|予防とのつながり
虫歯治療の最終的な目標は、
「治療しなくていい状態を長く保つこと」です。
そのために、北村歯科では
- 定期検診・クリーニング(歯石取り・PMTC等)
- フッ素や歯磨き粉・補助清掃用具の提案
- 食習慣・生活習慣のアドバイス
- 歯ぎしり・食いしばりへのナイトガード
を組み合わせた予防・メンテナンスを重視しています。
詳しくは、
予防歯科のわかりやすい解説「治療に通う歯医者」から「メンテナンスに通う歯医者」へ や
歯周病の総まとめガイド もご覧ください。
もっと詳しく知りたい方へ|FAQ・24時間質問ページ
虫歯治療について、さらに詳しいQ&Aを知りたい方は、
虫歯治療 FAQ 50問 をご覧ください。
FAQで解決しない場合や、「自分の場合はどうなるのか」を知りたい方は、
24時間質問ページ・北村歯科AIチャット相談 からもご質問いただけます。





